2016年12月14日更新

生まれつきある赤あざ(血管腫)はレーザー治療で消せるの?

もしかしたら街角や電車の中で、顔に赤あざのある人を見かけた事があるかもしれません。生まれつきある赤あざは成長に伴って消えていくものではありませんが、保険適用で治療できる病気です。メイクや髪型で赤あざを隠すより先に、医師に相談してみましょう。

  1. 目次
  2. 生まれつきある赤あざの原因は?
  3. 効果的に赤あざを治療する方法は?
  4. レーザー治療に副作用はあるの?
  5. 生まれつきの赤あざは意外と簡単に治るものです

生まれつきある赤あざの原因は?

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生まれつきある赤あざは、単純性血管腫という病気です。ポートワイン血管腫やポートワイン母斑とも呼ばれ、顔や首などにできる凹凸のない赤あざが主な症状となっています。

この病気は命に関わるようなものではなく、症状も赤あざができているというだけなので、症状の程度によってはメイクであらかた隠す事もできるでしょう。それで気にならない程度であれば、必ず治療をしなくてはならないというものでもありません。

しかし、思春期の時期に顔に大きな赤あざがあると、不本意な偏見の眼差しやいじめを受ける事も残念ながら少なくありません。単純性血管腫は、放っておいて自然治癒する類の病気ではないのです。

その為、赤あざを持って生まれてきた赤ちゃんの親御さんは、なるべく早い段階で治療を受けさせ、赤あざを消そうとする方が多いようです。また、現在では医療技術の発達により、赤あざを効果的に治療する事ができます。

赤あざだけではない単純性血管腫

スタージウェーバー症候群

皮膚が赤くなる症状の他に、脳や目の合併症を伴うケースです。
中枢神経である脳を包んでいる膜の血管奇形が原因で、知能の発達障害やけいれん発作、片麻痺などの症状が現れます。

眼の場合、眼内を包んでいる膜の血管異常を合併する事があり、緑内障を発症する事があります。結果的に失明してしまう事もあるようです。

クリッペルトレノニー症候群

赤あざと同時に静脈瘤などの脈管奇形が片側の四肢にみられます。骨や軟部組織の急成長による肥大やリンパ関係の形成異常がおこる事もあります。

脈管奇形は内臓にいたる事もあり、静脈が鬱血して血栓性の静脈炎などの危険な合併症を起こしてしまう危険性もあります。

効果的に赤あざを治療する方法は?

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赤あざをの治療方法として一般的なのが、Vビーム(ダイレーザー)と呼ばれる色素レーザーを照射する治療です。赤あざの原因となっている毛細血管の形成異常そのものをレーザー照射によって破壊し、赤あざを改善します。

赤あざレーザー治療の痛み

レーザー治療は、照射時に輪ゴムでぱちんと弾かれるような多少の痛みを伴います。照射時間によっても痛みの度合いは変わってくるので、数分程度の短時間照射でしたら麻酔なしでの治療ができますが、塗布型などの麻酔を使用するのが一般的です。

ただし、目などのデリケートな部位や治療範囲が広い時には全身麻酔の方が向いている場合もあります。

レーザー治療後の経過

レーザー照射した患部は、照射直後は赤あざ部分が灰青色に変色します。丸一日程時間が経つと、赤黒いような色に変化します。この状態は1週間前後続きますが、だんだん黒さが元の色に戻っていくにつれ、元々の赤あざも薄くなっていきます。

治療直後から1週間程は、施術部位に軟膏を塗って保湿し、テープで保護する事で皮膚の再生を早めていきます。かさぶたができることもありますが、絶対に剥がしたりしないようにしましょう。

1,2か月程は色が変化し続けますが、治療効果を実感するにはそれくらいの時間経過を待つ必要があります。

赤あざのレーザー治療費用は保険適用

単純性血管腫の治療は健康保険適用となりますので費用面も安心です。保険適用の場合は、3か月以上の間隔を空けて治療する必要があります。
1回当たりの治療費は、10㎠あたり保険適用で6~7千円が相場です。

レーザー治療に副作用はあるの?

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単純性血管腫のレーザー治療に副作用はあります。
照射直後の皮膚にやけどのような赤みやヒリヒリとした痛みが出たり、腫れたり、内出血や水ぶくれが見られることがあります。

大抵は1,2週間程でこれらの症状はなくなりますが、炎症後色素沈着が起こって皮膚が茶色く変色してしまう事があります。これも一過性のものなので、数か月程でほぼ消えてなくなりますのでご安心ください。

レーザー治療の頻度・回数

治療回数は個人差や部位の差があり、赤あざの深さや程度によっても変わってきます。
レーザー治療を施す度に赤あざは徐々に薄くなってきますが、複数回の治療が必要な為、保険適用であれば3か月以上の間隔を空けつつ、長期間通い続ける必要があるのが難点です。

治療中は紫外線に注意

また、レーザー治療の期間中は特に紫外線に気を付ける必要があります。レーザー照射後は皮膚がとてもデリケートな状態になっている為、紫外線を浴びる事で色素沈着が起こりやすくなっています。

外出時は必ず日焼け止めクリームを塗るようにしたり、なるべく日焼けをするような予定を入れないようにする事、また、洗顔やスキンケアの際にゴシゴシこすったりしないよう、心掛けましょう。

生まれつきの赤あざは意外と簡単に治るものです

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レーザー治療で赤あざが消えた方の口コミからは、「もっと早く治療を始めれば良かった」という意見も見られます。美容治療と違い、保険診療で施術してもらえるのも気楽に受診できるポイントとなっています。

継続的に通う場合はどうしても時間も費用もかさんでしまいますが、もし悩んでいる方がいらっしゃればこの記事が受診するきっかけになれれば幸いです。